本日は、化学の実験
化学室の片隅で、何かが爆発した。
九月下旬の爆弾騒ぎを覚悟した教師が見たものは、ものすごくパニくっているエジプト人留学生と、眉尻を下げて困ったようにうろうろしているバスケ部員だった。
「……取手、一体、何が……」
別に、彼はトトをのけ者にしたわけではない。教師は瞬時に悟ったのだ。
トトからは、話が聞けないと。
話を振られた取手は、相変わらず困った顔で教師を見、先ほどまで共に実験をしていたトトを見た。
「その……僕にも良く、解らなくて……あ、二人とも、怪我は無いです」
「……それは良かったが……」
焦げている実験台の周りには、粉々に粉砕された試験管とビーカーの破片。
「念のため、保健室に行ってきなさい」
「……解りました……」
「……ついでに、トトも連れて行ってくれるとありがたいんだが……」
「あ……はい……」
未だ混乱している様子のトトを引っ張りつつ保健室へ向かう取手の後を見ながら、化学教師は深く、深くため息をついた。
〜本日の実験〜
取手、トト両名リタイア。
実験の安全性を見直す必要がありそうだ。
(化学教師の日記より)
余談。
「んー?すどりん、何で生物苦手?」
「やぁねっもう!そんな恥ずかしい事聞かないでちょーだいっ!!」
ばしっ
「ぐはっ……」
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