01: loss 02: sulk 03: fiction 04: immortal 05: obscure
06: taint 07: piece 08: gray eminence 09: wail 10: memento





01: loss[失う.置き忘れる]


見渡す限り荒野が広がっている。
壊れかけている町。ふらない雨。黒い太陽。雲の無い空。見たことの無い建物。死んでいる人々。恐ろしく静かな世界。
二度寝て、二度起きたが、この世界が変わる気配は無い。
常に傍に居た『仲間』達の姿が現れる気配も無い。
明日寝たら、明後日起きたら、この世界は変わるのだろうか。仲間達は現れるのだろうか。
それとも、ずっとこのままなのだろうか。

嗚呼、皆の顔も、声も、名前すら忘れてしまいそうだ。
忘れたくないのに。
忘れたら、もう二度と歩き出せないのに。

唇を噛み締め、焼け付くような日差しの中、サーフは一歩足を踏み出した。


ED後勝手に妄想。

02: sulk[拗ねる.不機嫌]


「…ここで寝て、良いか?」

枕と毛布を引きずりながら、サーフがヒートの部屋へ進入してきたのは、ソリッド壊滅後の二日後の事だった。

「ああ……って!待ちやがれサーフ。お前、自分の部屋があるだろうが」

あまりにも眠そうな顔のサーフに、一瞬承諾しかけたヒートだったが、無遠慮に己のベットへ乗り込んできたサーフの姿にはっと我に返る。最も作戦室に近く、最も広い部屋。彼の記憶が確かなら、そこがサーフの部屋だった、はず、だ。
ぽふぽふ、と枕を叩いていたサーフだったがその言葉に眠たそうな目を向けた。暫く言葉の意味を考えるよう首を傾げていたが、やがてあぁ、と呟き

「血の臭いがするから嫌だ」
「はぁっ!?」
「血の臭いでやな夢見るから嫌だ」

ごねた。
そういえば、ソリッドが襲撃してからこちら、一度もあそこを掃除した記憶がない。確か、相当血が流れていたから、いい具合に湿気と結びついてさぞや臭かろう。が、幾らなんでも、人のベットを占拠するなんて事は………。
沸きあがる思いをぶつけようと見下ろすと、既にサーフは熟睡していた。
起こす事を躊躇わせるほど幸せそうな寝顔を見ながら、ヒートは一人、理不尽な思いにとらわれていた。

翌日、結局一睡も出来なかったヒートを咎めたゲイルが怒鳴られたという事は、この際無かった事にして。


やがてここから男性陣皆が同室で就寝に発展するという(嘘)

03: fiction[作りごと.架空の]


ジャンクヤードでは、全ての物が永遠に回り続ける。
死んだ者も、壊れた物も、何もかもが雨になって地に落ちて。

ならば、喰われた者はどうなるのだろう。

「…ジナーナは、雨がやむ前でよかったな」
「……えっ?」
「また、戻ってこれる」
「………っ!!」

セラを追いかけている最中、カルマ教会の前で、サーフがポツリと呟いた。
あぁ、とアルジラは気づく。彼は知らないのだ。聞いていなかったのだ。ジナーナは、バットに喰われたと言う事を。
ずきん、と胸が痛んだ。
言いたくなかった。認めたくなかった。だが、その結果がこのような形で返ってくるとは思わなかった。
喰われた者はどうなるのだろう。久遠の輪から離れるのだろうか。もう二度と、戻ってこないのだろうか。

「そう、だね…」

心配そうに、己を見るサーフに気づき、慌ててアルジラは笑みを浮かべる。

「…ジナーナ、何になるのかな…。やっぱり、人間になるのかな…」
「いや…“花”だろう」
「…花?」
「そう。きっと、赤く綺麗な花になるんだ」

見たことは無いけれど、とほんの僅かサーフが笑う。
あたしも見たこと無いけど、でも、そう思うよ、と、アルジラも笑った。
例えそんなことが無いと知っていても、そう思いたかったから。


綺麗な花=赤。すみません、単純で。

04: immortal[不死の.永久の]


死体を見た。
嗚呼、なんて虚しいのだろう。

彼は、彼女の元へ降り立った。何の感慨も無く。
何よりも良いとされるその耳ですら無としか表現出来ない音が響く。

「フン」

多少歪な音が空へこだまする。
喰らうのを躊躇って何になる。相手を己の一部にするだけなのに。
抱きしめるより、抱くより確実な所有方法。
そう、決して誰にも取られる事の無い――


バットです。…多分(爆)


05: obscure[不明瞭.あいまいな.隠れた]


06: taint[けがす(れる).汚染する.腐らす]


ある日目覚めると、アジトの一角で、サーフがぼんやりと立っていた。

「何やってんだサーフ」
「…ヒート?」

声をかけると、ゆるり、と首をこちらに回して傾げ、また視線を戻す。何を見ているのだろうと近寄ると、その視線の先に、得体の知れない、ぐちゃぐちゃとした物が転がっていた。
自分の隣にヒートが来たという事を悟ったらしいサーフが口を開く。

「これ、なんだかわかるか?」
「知るか…こっちが聞きてぇぐらいだ」
「……ここ、保冷室なんだ…」
「ああ?」
「………これは、俺たちが昔食べていた物の成れの果てだ」
「なっ……」

屋内にあった為、雨の循環からも外れてしまったモノ。
異臭を発し、青い毛のような物を全身から生やしたそれは、今まで出会ったどんな悪魔よりも醜悪で

「…なんだったんだろうな、これ」

サーフの呟きが、やけにむなしく響いた。


夏場は食物が腐りやすいです。


07: piece[断片.一片.部分.一区画]


08: gray eminence[黒幕(的な人物)]


09: wail[泣きわめく.嘆き悲しむ]


10: memento[記念品.かたみ]


ゲイルの指には、ルーパのタグリングが着いている。
思いを受け取った証、のような物、なんだと思うけど、正直、ほんの少し羨ましい。ルーパはホントに凄い奴だから、仕方ないだろうし、オレも一応尊敬してる。
だけど、そのぐらい大切に思ってもらえるなんてなんかずるい、とか、良いな、とか、ほんの少しだけどそう思う。

「なぁ、ゲイル〜。オレが死んだら、オレのタグリング、付けてくれる?」

バロン探索の途中、怒られるかもしれない、と思いながらも皆がほんの少し離れている隙を狙って声をかける。いくらオレでも、こんな事皆に聞かれたら恥ずかしい。
ドキドキしながら待っていると、ゲイルが立ち止まってオレを見た。
何となくその目が怒っているようで、やっぱまずい事聞いたんじゃないかと不安になる。けれど、次にでた言葉は、意外な事にオレを叱るものじゃなかった。

「あぁ、死んだらな。…最も、そんなことは一生無いだろうが」
「……へ?」
「無駄口はここまでだ。さっさとバロンを探すぞ」
「あ、ああ……うん……」

また探索に戻っていく姿を見ているうちに、どんどんと顔がにやけてきた。
気持ちわりぃぞ、とヒートにどつかれたけど、そんなことも気にならないぐらい嬉しくなったオレは、もしかしたらフキンシンなのかもしれない。フキンシンが一体何かは良くわからないけれど。


微妙に風←虹風味。風味であってそれ以上じゃない。




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